東京三弁護士会の虐待に関する勉強会へ行ってきました

7/29、弁護士会館でおこなわれた、東京弁護士会、東京第一弁護士会、東京第二弁護士会合同の勉強会へ行ってきました。虐待と成年後見制度にかかわっている弁護士の先生12名が参加され、当方は、東京精神保健福祉士協会から推薦を受け、ソーシャルワーカーの立場から2時間程、お話しする機会をいただきました。

「虐待」は、とても難しいテーマです。虐待に至る背景は、個々の状況や問題、家族関係や家族全体にかかわる問題、家族それぞれがかっている学校や職場、近隣社会、医療や支援機関等、社会関係の歪みなどが複雑に絡み合っていることがあります。

単に虐待の有無や、世帯をわける分離保護、被虐待者を守るための成年後見人等の選任で解決できるわけではありません。もちろん、緊急を要する状況では分離も必要です。被虐待者の保護と支援は最優先となるでしょう。他方、中長期的には、家族それぞれの生活の再構築や、家族関係の再考(家族間の距離のとり方やかかわり方など)、虐待を行っていたと考えられる養護者の支援と具体的な努力目標の設定などが必要ではないかと考えます。

成年後見人等の選任で虐待問題が解決しないのは、解決の鍵の多くは、生活支援にかかっていると考えるからです。財産管理や、住居設定時の入所契約、福祉サービスの利用契約において、成年後見人等が代理で役割を担ったり、契約することはありますが、生活支援の役割は、成年後見人等よりも地域支援機関が重要であると考えます。治療が必要なときは、精神科医療等、医療資源の利用が求められますが、医療でできることは限界もあるでしょう。すべてが医療で解決できるわけではなく、その先にはやはり生活があります。

勉強会終了後、何人かの先生とお話しさせていただき、弁護士の先生方が権利擁護の最後の砦として、様々な場面で奮戦されていることを改めて知りました。ソーシャルワーカーの末席にいる者として、何ができるのだろうか?と考えさせられる機会となりました。

この記事を書いた人

長谷川千種

昭和大学附属烏山病院の精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)として30年メンタルヘルス領域のソーシャルワーク実践に携わりました。退院支援、受療支援、地域関係機関との連携の他、成年後見制度や日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)等、多くの経験をさせていただきました。個人事務所で新たな歩みを始めたいと考えています。